鉄鋼スラグについて


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鉄鋼スラグの化学的特性


鉄鋼スラグの化学的特性


鉄鋼スラグは石灰(CaO)とシリカ(SiO2)を主成分としています。その他の成分として、高炉スラグはアルミナ(Al2O3)、酸化マグネシウム(MgO)と少量の硫黄(S)を含み、製鋼スラグは酸化鉄(FeO)、酸化マグネシウム(MgO)を含有しています。製鋼スラグの場合、金属元素(例えば鉄など)が酸化物の形でスラグ中に取り込まれていますが、精錬時間が短く石灰含有量が高いため、副原料の石灰の一部が未溶解のまま遊離石灰(free-CaO)として残るものもあります。
これらの成分は、地殻や天然岩石、鉱物など自然界に存在するものであり、化学組成は普通ポルトランドセメントに類似しています。鉄鋼スラグの形状や物理的特性は、一般の砕石または砂と似ていますが、化学成分や冷却プロセスの違いなどにより、スラグ特有の幅広い性質を持たせることができます。例えば、アルカリ刺激があると硬化する特性を持つものなど、その物理的・化学的特性を活かした用途が開発され、多方面で利用されています。

鉄鋼スラグの組成例


(単位:%)
種類
成分
高炉スラグ 転炉系スラグ 電気炉系スラグ 安山岩
(参考)
普通セメント
酸化スラグ 還元スラグ

CaO

41.7

45.8 22.8 55.1 5.8 64.2
SiO2

33.8

11.0 12.1 18.8 59.6 22.0
T-Fe 0.4 17.4 29.5 0.3 3.1 3.0
MgO 7.4 6.5 4.3 7.3 2.8 1.5
Al2O3 13.4 1.9 6.8 16.5 17.3 5.5
S 0.8 0.06 0.2 0.4 2.0
P2O5 0.1 1.7 0.3 0.1
MnO 0.3 5.3 7.9 1.0 0.2

 

 

pH特性



鉄鋼スラグは、含有する石灰の影響で、水と反応するとpHが10〜12に上昇し、コンクリート再生路盤材、セメント安定処理土と同等か、それ以下のアルカリ性を示します。
わが国の土壌は一般的に酸性土壌であるため、鉄鋼スラグ製品から溶出したアルカリ成分は、土壌に吸着中和されますが、鉄鋼スラグに接した水が土壌を介さないで、外部に流出する恐れがある場合には、コンクリート再生路盤材やセメント安定処理土を使用する場合と同様、アルカリ吸着能の高い土壌で覆土したり、炭酸ガス等で中和処理した後に排水する等の対策を実施する必要があります。鉄鋼スラグ製品をご使用いただく際には、施工中・施工後の流出水対策について鉄鋼スラグ製品の製造元、販売元と事前によくご相談いただくようにお願いします。

環境基準への適合


鉄鋼スラグ製品の環境安全品質


鉄鋼スラグ製品は、1979年に物理的性状を中心とした道路用JIS が制定され、それ以降も種々の土木材料としての製品規格が策定され、土木資材として使用されてきた。一方、環境安全品質についてはその規格化が遅れていたが、環境安全品質試験方法として「スラグ類の化学物質試験方法(JIS K 0058-1,2)」が2005年に制定されたことを受け、鐵鋼スラグ協会では、鉄鋼スラグ製品のJIS規格への環境安全品質の織り込みに取り組んでいる。鉄鋼スラグ製品の環境安全品質は、製品使用時の暴露環境を考慮して、その環境における土壌、地下水、海水等が環境基準等を満足するよう規定するものである。
「道路用鉄鋼スラグ(JIS A 5015)」および「コンクリート用スラグ骨材(JIS A 5011-1,-4)」のJIS 規格は、2013年の改正において、環境安全品質の織り込みが終了した。さらに、2015年1月に改正した「鉄鋼スラグ製品の管理に関するガイドライン」において、使用場所・用途に応じて適用する環境安全品質をより明確にして整理している。

使用場所・用途に応じて適用する環境安全品質


陸域で使用される鉄鋼スラグ製品については、道路・鉄道用、コンクリート骨材用、地盤改良材、土木・陸上工事、水和固化体、その他の6種に分類し、JIS規格品又はJIS規格相当品、土壌と区分可能な用途か否か等によって、適用される環境安全品質の試験方法と判定基準値、試験頻度を定めている。
一方、港湾・海域に使用される鉄鋼スラグ製品についても、コンクリート骨材用、地盤改良材、港湾・海域工事、水和固化体の4種に分類し、JIS規格品又は相当品、水底土砂基準が適用される用途か否か等によって、適用される環境安全品質の試験方法と判定基準値、試験頻度を定めている。

「スラグ類に化学物質評価方法を導入する指針」について


「コンクリート用骨材又は道路用等のスラグ類に化学物質評価方法を導入する指針に関する検討会(委員長;大迫政浩・(独)国立環境研究所)」は、スラグ類を含めたあらゆる循環資材に共通化できる環境安全品質とその検査方法を導入するための基本的な考え方を総合報告書として取りまとめました。この報告書は、平成24年3月13日に開催された「日本工業標準調査会・土木技術専門員会(委員長;河野広隆・京都大学)」に報告されました。
「土木技術専門委員会」及び「建築技術専門委員会(菅原進一・東京理科大学)」では、平成23年7月12日付けで「コンクリート用及び道路用のスラグ類のJISへ環境安全品質及びその検査方法を導入するための指針(本文)」【付録A2】、「道路用のスラグ類のJISへ環境安全品質及びその検査方法を導入するための指針本文)」【付録A4】を策定しており、さらに利便性を高めるためそれぞれの解説【付録A3及びA5】を今般新たに作成しました。
なお、これらの指針は、「建設分野の規格への環境側面の導入に関する指針」(平成15年3月28日議決)
【付録A1】の附属書に位置づけられています。

コンクリート用骨材又は道路用等のスラグ類に化学物質評価方法を導入する指針に関する検討会総合報告書

付録A1 建設分野の規格への環境側面の導入に関する指針
付録A2 附属書I コンクリート用スラグ骨材に環境安全品質及びその検査方法を導入するための指針(本文)
付録A3 附属書I コンクリート用スラグ骨材に環境安全品質及びその検査方法を導入するための指針(解説)
付録A4 附属書II 道路用スラグに環境安全品質及びその検査方法を導入するための指針(本文)
付録A5 附属書II 道路用スラグに環境安全品質及びその検査方法を導入するための指針(解説)